BIツールには大量のデータを処理できるほかに、データを手軽に扱えるという大きな特徴があります。
そんな特徴を活かして、今回は扱うのには手間のかかりがちな「キーワード分析」を、BIツールを使って手軽に素早く行ってみたいと思います。
取り上げるデータはGoogle アナリティクスから抽出できるオーガニック検索のキーワード。
これを元にサイトにアクセスしてくるユーザーのニーズと、サイトのマッチングを図りたいと思います。
具体的には、下記のようにキーワード毎の「新規セッション率」「直帰率」を取得し、散布図で比較するというものです。
アクセス解析の中では基本的な手法なんですが、これをExcelでやろうとするとマクロまで使う必要があり、なかなかハードルが高いものです。
データを集約して視覚化に時間をかけてしまい、分析に時間をかけられないという負のスパイラルに陥らないためにも、手軽な視覚化とじっくり分析という理想の環境を実現したいと思います!
BIツール
今回はBIツールの中でも手軽に扱える「Qlik Sense」を使用します。
使用方法、データのインポートについては以前のブログでも取り上げているので、そちらを参照して下さい。
使用するデータはオーガニック検索のキーワードになるので、Google アナリティクスでは下記のように取得します。
Google アナリティクス
- 左カラムメニュー「集客」→「すべてのトラフィック」→「チャネル」
- 表示された「Default Channel Grouping」から「Organic Search」をクリック
- これで検索キーワードの一覧が取得できますので、右下の「表示する行数」を最大の「5,000」を選択
- 左上の「エクスポート」からExcel(XLSX)形式でダウンロードを行ってください
ではここからは、データのインポートが済んだところから話を進めたいと思います。
インポートが完了しましたら、右上の「編集」に進み、左カラム「散布図」をクリック&ドラッグで表示エリアに挿入します。
そうすると「軸」「メジャー」の入力を求められますので、今回は下記のように設定します。
- 軸: キーワード
- メジャー: 新規セッション率
- メジャー: 直帰率
散布図
ここで散布図の要素をQlikSenceでの表現について確認したいと思います。
散布図はx軸とy軸の2つの要素を元にデータが比較できるので、どちらの要素が多いか測ることができ、ポジショニング分析に適した表現になります。
Qlik Senseの設定ではx軸y軸がそのまま「軸」の設定と考えがちですが、Qlik Senseの「軸」は量を表す「メジャー」に対しての「軸」となります。
Qlik Senseでの要素
- 「メジャー」→量を表す(計算式など)
- 「軸」→量と対になる要素
設定
ということで、Qlik Senseでの設定は上記のように軸に「キーワード」とメジャーに量を表す「新規セッション率」を設定します。
また「メジャー」の設定では関数の入力がデフォルトとなりますが、今回は関数を用いず「メジャー」には「項目名」のみ設定して下さい。
こうして設定が終わり、右上の完了をクリックすると散布図が描かれます。
しかしこのままでは分析ができないので、まずは「新規セッション率」と「直帰率」の平均値を散布図に表したいと思います。
手順は再び右上の「編集」より、右カラムの「拡張機能」を開きます。
そうすると「x軸」「y軸」それぞれの「基準線」という項目が現れるので、「基準線の数式」に関数を入力します。
入力する式は、Avg[項目名] です。
※Avgは平均(average)を表す関数式になります。色の設定もできるので、今回は赤くしてみました。
また「新規セッション率」「直帰率」が同じ値の「キーワード」は重なって表現されてしまうので、この中身を確認するためにデータの一覧表となる「テーブル」を作成します。
手順は「散布図」の作成と同様に、「テーブル」を左カラムよりクリック&ドラッグで配置します。
表示する内容は散布図と同様に設定します。
- 軸: キーワード
- メジャー: 新規セッション率
- メジャー: 直帰率
今回は「セッション」と「平均セッション時間」のデータも取り込んでいるので、「テーブル」に追加したいと思います。
またこの2つの項目については関数を入力しないと表示されないので、下記のように設定します。
- 軸: 「セッション」の「メジャー」:Sum[セッション]
- メジャー: 「平均セッション時間」の「メジャー」:Avg[平均セッション時間]/86400
※[平均セッション時間]は秒単位でで取り込んでいるため、時間単位の表示をさせるために「86,400」で割っています。
これで準備が整いました。
分析
それでは早速分析をしてみたいと思います。
今回はキーワードから、ユーザーのニーズとサイトのマッチングを分析するのが目的なので、平均を基準にキーワードを分類して見ましょう。
「新規セッション率」「直帰率」ともに平均を上回るもの、これは新規のユーザーがニーズを満たせず帰っていると考えられるキーワードなので、サイトにとっては要注意キーワードとなります。
Qlik Senseでは、視覚化した情報をマウスの操作で直感的に選ぶことが可能です。
できあがった散布図をクリックすると、散布図の右上に「投げ縄」マークが出てくるのでアイコンをクリックします。
そしてクリックしながらマウスを動かすことで、抽出範囲を選択できます。
また選択した結果は「テーブル」に明細として表示されるので、今回であればセッション数の多いものから検討するといいでしょう。
散布図は他にもポジショニングの分析に応用が効くので、様々なデータで試してみてもらえたらと思います!